猿壺の滝へ

HASSY

2009年05月14日 23:44

2009.5.2-3 柤大池2009~GW④
  2009GWキャン 兵庫県『柤大池公園キャンプ場』の帰り道~その壱


林道から長靴に履き替えて沢に踏み入ります。

苔で滑る石に気を遣いながら沢伝いに進んでゆくと、
やがて、前方緑の奥に滝の姿が見えてきました。



やっと来ました。『猿壺の滝』です!
まさに秘境を行く、、、アドベンチャーとなりました。


 
 《兵庫の滝を歩く…》シリーズ第3回 『猿壺の滝』
    第1回 『猿尾滝』は コチラ
    第2回 『七種の滝』は コチラ  

 HASSY探検隊シリーズ 前作はコチラ…(笑)



プロローグ

昨年、柤大池に行ってから但馬の事を調べるうちに知ったのが、この猿壺の滝。
「さるぼのたき」と読みます。
写真で、その美しく神秘的な姿を目にするや否や、

 『これは!美しい・・・見に行きたい!撮りたい~』

柤大池からも近いし、次回柤大池はベースキャンプとして、ここに是非とも訪れなければ・・・と。
それからネットでいろいろと情報を入手し、今回現地行き決行となりました。


兵庫県と鳥取県の県境、氷ノ山の北方に位置する扇ノ山(1,310m)
その麓、兵庫県側にある上山高原や畑ケ平高原(はたがなるこうげん)。

この辺りには、いくつもの有名な滝がありますが、その中でもこの滝はメジャーではなく、
地元の人が知る程度だったみたいです。

それが、2,3年前からインターネットを介して写真愛好家にその存在が広がり、
静かなブームになっているとか。。。 → 【神戸新聞記事リンク】
言わば、知る人ぞ知る…という感じでしょうか。


より大きな地図で 猿壺の滝 を表示

魅力は何と言っても、その神秘的な美しさ
高所から1本ドバーっと落ちる豪快な滝ではなくて、イメージとしては白糸の滝っぽいミニマム版?
こぢんまりしていながらも、横に広がり、苔むした岩を伝う何本もの細い筋が
とても美しい雰囲気を醸し出している、そんなフォトジェニックな滝なのです。


アプローチ

キャンプ場を出て、国道9号線を西へ。
湯村温泉も越え、鳥取県との県境手前の千谷の辺りを左折、県道262号線へ入ります。
「おもしろ昆虫化石館」(八田コミュニティセンター)という大きな施設があり、
滝を示した看板があります。こちらで案内図もいただけるとか。




ここから延々と岸田川沿いに南下。
山あいの人里の雰囲気、棚田の眺め、そして見え隠れする渓流が美しい!

「霧滝ヤマメ茶屋」を過ぎれば、つづら折りの畑ケ平林道へ突入。
対向車が来たらすれ違いが難しい細い道を、
ぐんぐんと高度を上げて登って行きます。



ここでビックリするのは、ガードレールがデコボコ、グニャグニャ、ヨレヨレ・・・
見るも無惨な姿になっていることです!
ほとんど全てのガードレールがですよ!
ガードレールの役割が果たせていません。
これは何の仕業なんでしょう?

よく見るとガードレール付近は落石だらけ、巨大な岩もゴロゴロと…。
もちろん道の真ん中にも真新しい小さな落石がちょこちょこと・・・

下方の景色は、見晴らし最高!
新緑の中にピンクの山桜もチラホラ見え、とても美しいのですが、、、千尋の谷。
もし、落石に遭ったら・・・マジでちょっと背筋が凍ってきました。



やがて、道路脇に白っぽい塊が、そこから流れる水の筋、、、これは残雪です!


除雪されたものでしょうが、山中にも所々に残雪が現れてきました。
標高も800mを越えてきましたので、ナットクです。
ガードレールの変形は、雪のせいなのかもしれません。
残雪の塊はザラメのようで、触ると冷んやりしてました(当たり前)。


不安の中、更に進むと、唐突に大きな滝がど~んと姿を現しました。
『お面ヶ滝』です。案内標識がありました。



途中、小さな滝らしきものもいくつか通り過ぎましたが、これは迫力があります!
かなり高い崖の上から落ちており、落差も素晴らしい。(60mあるようです)
前に訪れた神崎郡福崎町の『七種の滝・雄滝』に感じが似てますね。
ちょっと水量が寂しいですが、これはこれで十分立派な滝です。


この先すぐの所で、崖崩れで道路が分断されているような・・・!
ゲゲッと一瞬焦りましたが、左手にもっと山を崩してのショートカット迂回路があり、
先へ進むことができました。

崖崩れに、生々しい落石の数々、ぐちゃぐちゃのガードレール、
不安が渦巻く上に妻の不安そうな顔、、、
こんな秘境とはつゆ知らず…、まったく、えれぇ所へ来ちまっただ・・・


それから『鶴滝』、『亀滝』を過ぎて、標高も900mを越え、目的地が近くなってきました。




LAST STEP~最後の一歩

『猿壺の滝』には案内板や標識はありません。
それに、今までの滝のように道路脇にあってすぐ見えるものでもないのです。
ターゲットポイントのキーワードは、180°のヘアピンカーブにある錆びたガードレールの橋
そこから踏み入り、沢を歩いて遡上するしかないのです。

事前の下調べの結果を頭にインプットしてましたので、
後はナビの示す地形と実際の道なりとを照らし合わせ、この目で見つけるのみ。

やがてポイント付近に到達。
まず、最初のヘアピンカーブを通過。
ここは違うんだよね…下調べでは、次に出てくるヘアピンカーブが・・・

ん?錆びたガードレールの橋じゃん。ちょっと待て!ここか???

やり過ごして、次のカーブを曲がると、ちょっとした道端の広場に2台の車が。
そして、二人の方がカメラの三脚を担いで、まさに出発する姿。
あれは滝ハンターみたいな…やっぱり、あそこだったんでは?
でも、ナビによるともう少し先に…

とにかく次のヘアピンカーブまで行ってみると、橋はあるがガードレールは錆びてない???
これは、やはりさっきの所だ!と確信し、旋回場所を見つけて∪ターンしました。


 → 参考にしたのは「おもしろ昆虫化石館」前に掲げてある案内図と
    ソチラでもらえるという地図だったのですが、
    実際に通った感じと照らし合わせれば、たぶん間違っていると思います。
    たぶんというか、ほぼ確信があります。
    もう一つ手前のヘアピンカーブが錆びたガードレール橋のところなのです。
     (案内図写真に記入済 →→→
    もし、間違いならばお許しを、そしてご指摘下さい。



ともあれ戻って先程の駐車場?に車を置き、
長靴に履き替えて、50mほど下の錆びたガードレールの橋へ向かいます。


 【駐車場というか、秘境にあってはかなり広いスペースです。まるで「猿壺の滝」専用駐車場
 として造成されたような???車10台以上は軽く置けます。ツクシが群生していてビックリ】


錆びたガードレール橋の右側に、奥へと続く踏み固められた径らしきもの…これですよ!
いよいよ滝へのアプローチ、最後の一歩を踏み出しました。


【コレがヘアピンカーブと錆びた橋のガードレール】

すぐに幅数メートルの沢に到達し、沢伝い、岩や石の上を辿ります。
時には沢の中に入り、倒木を跨ぎ、濡れて苔むして滑りやすい中、慎重に進みます。
娘の手をとり、危ない所では抱きかかえてやり過ごし、大自然の中、道無き道を前進あるのみ。

これぞまさにアドベンチャー まるでプチ「川口浩探検隊」になった気分です(笑)



沢の左岸に移ってしばらく進むと、巨木の向こうに人の姿がチラと見えました。
原住民か!? 緊張が一気に高まります!(お約束ですので…)

とはもちろんウソで、先客4名のハンターが三脚・カメラを抱えて撮影中の様子。
そして、その左手には白い滝らしき姿が!


クライマックス

ついに来たぞ!猿壺の滝



近づくにつれ、その全貌が明らかになってきました。
橋から距離にして150mとの情報ですが、子連れであり時間にして15分ぐらいかかったかな?



第一印象。思ったより小さいな~
高さは5mぐらいと解っていましたが、写真で見たイメージだけではどうしても大きい印象に
増幅されてたのは、仕方がないところでしょうか?

テレビや映像で見るタレントなどを、実際間近で見ると小さく感じるのと同じ感覚かな?
実際目の当たりにした滝は、とてもこぢんまりとしておりました。


しかし、文句なく美しい~!!!

緑の木々の中、緑に苔むした岩を幾筋もの白く透明な水が、幾重にも流れ落ちています。
滝壷を造っている倒木からも、白糸のように流れ落ちる水筋。
さらに、その下にも何段にもわたる渓流滝が続き、得も言われぬ美しさを形作っています。


どう形容しましょうか。
とにかく、美しい、素晴らしい、感動的、神秘的、神々しい、う~ん、表現力乏し(笑)

滝の傍へと近づきましょう。
倒木や石をうまく辿り、滝の右側へ回り込めます。


こちらから見ると、また違った雰囲気となりますね~
この辺りから撮ると、18m(35mm版換算27mm)レンズでいっぱいいっぱいとなります。


ミストのような飛沫を顔に受けながら、滝の裏側からの裏見も出来ます。


糸のように流れ落ちる様を間近で見ると、これまた格別!


戻って、今度は滝の左側山肌の斜面を登ります。
ここは段々になっていて、簡単に登ることが出来ます。


こちらからだと、滝壺の様子がよくわかりますね。



全体的に緑がまだ少なかったのが残念。
辺りにまだ残雪が残ってるくらいですから。。。

これから夏場にかけて緑が生い茂ってくると、また趣が違って見えるんでしょうね。
鬱蒼とした緑のジャングルの中のような感じで、より秘境っぽく。。。

いや、秋の紅葉の時期が最高じゃないかな?

今回、曇りでしたが、木漏れ日の陽光に煌めく姿も見てみたい!



次回訪問への思いを馳せながら、そろそろ引き揚げることにします。

帰りも慎重に沢を渡り、橋まで戻ってやれやれ・・・







エピソード&エピローグ

橋近くの残雪を触ってると、傍を通り過ぎた車が急に止まりました。
何かな??と振り返ると、道のド真ん中に1~2mほどの根土付きの樹が、、、
落石ならぬ、落木?山肌から滑落してきたか倒れたようです。いつの間に?
ドライバーが下りてきて、取り除いてましたが、お~怖。

この日のために購入した長靴(いわゆるマリンブーツタイプ)。
沢に入ってすぐに、右足先にジトッとした違和感が・・・
初履きにもかかわらず、浸水しておりました。
しかし、1回でパーとは! ま、安もんだからしゃーないか(笑)


景色を楽しみながらの下山は、あっという間でした。
きわどい?山道を下りて、ホッと一息。
無事にアドベンチャー終了
 → うーん、、、前フリの割に、アドベンチャーと言っても実際歩いたのは少しだけで、
   秘境ゆえ車に乗ってるだけでアドベンチャー気分になっちゃったと言うことで・・・(^^ゞ



どっぷりと安堵の眠りに落ちている隊員2名を見やりながら(笑)、
今し方の夢のような素晴らしい光景に、心地よい達成感に、至福の帰路でした・・・


 【あちこちに藤の花が咲いておりました】        【棚田の有名なところなんですね】


それにしても「猿壺の滝」、評判通りの美しい滝でした。

日本の美滝○選とかに選ばれて然るべき名瀑であることは間違いないでしょう♪


  この記事はすべて、ノン-フィクション・ドキュメンタリーです。
  「猿壺の滝」の魅力、拙い写真と文で少しでもお伝えできたでしょうか?
  これからこの滝を訪れようと思われている方々の参考になれば幸いです。





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